白秋の愛した柳川の心

先人たちによって長い年月をかけてかつては有明海の中にあった柳川。
有明海の一日の潮の満ち引きの差(干満差)は日本一。
一番大きい日には6mの干満差を生み、その息吹によって育まれた農産物や水産物は、柳川の人々の暮らしに彩りを添え、深く根付いた食文化を育みました。
柳川の街に流れる風が、香ばしいうなぎの甘い香りをそっと運んでくれます。
うなぎのせいろ蒸しは、江戸時代から続く柳川の伝統的な郷土料理の一つです。
蒸し器の一種である「せいろ」を使って調理されるのが特徴で、炭火で焼いたうなぎとタレの染みわたるご飯を一緒に蒸すことで、風味豊かでしっとりとした食感が熱々のままお楽しみいただけます。
有明海の6メートルにもおよぶ干満差のおかげで豊富な栄養を含み、良質な海苔が生まれます。なめらかな口どけと噛むほどに旨味がじんわりと広がります。艶やかで深みのある黒色が特徴的で料理に使うとその見栄えも一段と引き立ちます。
この地で育った海苔を味わうことは、有明海と長く共存してきた柳川の自然と歴史に触れることでもあるのです。
有明海は「珍魚の宝庫」として知られています。日本でも特に干満差が大きく、豊富な栄養分が供給されるため、他の場所では見られない多様な生物が生息しています。これらの珍魚は、地元の漁師や料愛され、食文化として根付いてきました。
ムツゴロウは干潟に生息するユニークな魚で、青緑がかった体と飛び跳ねるように動く姿が特徴です。地元では「干潟のダンサー」とも呼ばれ、塩焼きや唐揚げ、煮付けで味わわれます。口に含むとふっくらとした身と独特の風味が広がり、珍味として人気です。
水郷の町として知られる柳川ですが、九州有数の穀倉地帯としてもその名を知られています。古くから米、麦、大豆などの穀物が盛んに栽培され、近年ではナス、レタス、イチゴ、アスパラガスといった野菜や、ぶどう、イチジクなどの果樹栽培も盛んです。豊かなミネラルを含んだ肥沃な土壌で育まれた農作物は、地元の食卓を彩り、柳川ならではの豊かな食文化を支えています。
ゆったり贅沢な時間を過ごす
水郷柳川の川下り